
AirPods Max 2のレビュー、音質改善は評価も買い替え判断は割れる
Appleの第2世代オーバーイヤーヘッドホンは音とANCの改善で高評価を得た一方、変わらないデザイン、20時間駆動、549ドルという条件が既存ユーザーの買い替え判断を難しくしている。
AirPods Max 2の詳細レビューが出そろい始め、評価の軸もはっきりしてきた。Appleは3月16日の発表で、従来比最大1.5倍のアクティブノイズキャンセリング、新しい高ダイナミックレンジアンプ、Adaptive Audio、Conversation Awareness、Live Translation、そしてUSB-C経由の24ビット/48kHzロスレス再生を訴求していた。
音がいちばん変わった理由は、この製品ラインの歴史を見ると分かる。Appleは2020年12月、H1チップとLightning端子を備えた初代AirPods Maxを549ドルで投入し、2024年9月にはUSB-Cと新色を加えたが、内部はそのままだった。翌春のファームウェアアップデートでは、そのUSB-C接続を通じた24ビット/48kHzのロスレス再生と低遅延が追加されている。つまり有線でのロスレス再生自体は、この製品ラインにとって新しいものではない。AirPods Max 2はこのラインで初めてシリコンが変わった世代であり、だからこそレビュアーは音が一変したと感じ、その周囲は見慣れたままだと受け止めたわけだ。
MacRumorsのレビューを見る限り、音まわりの改善は単なる宣伝文句ではない。低域はより整理され、楽器の分離感も向上し、ANCも初代より一段強くなったと評価されている。H2チップと信号処理の刷新が実際の体験にもつながっている、というのが今回の重要な確認点だ。
一方で、迷いの種は変わらなかった部分にある。AirPods Max 2は外観をほぼ維持し、Smart Caseの考え方もそのまま、バッテリー駆動時間も最大20時間のままだ。MacRumorsは重量が385グラムのままである点も指摘しており、プレミアム帯のオーバーイヤー製品としては依然重い部類に入る。Bloombergも4月9日、2020年モデル所有者にとってはフルプライスの買い替えを正当化しにくいと評した。
385グラムという数字は、競合を並べると読み取りやすくなる。SonyやBoseの旗艦オーバーイヤーモデルは、歴史的におおむね250〜300グラムの範囲に収まり、移動時には折りたたむか、フラットに回転する構造を備え、公称のバッテリー駆動時間は24〜30時間あたりを示してきた。AirPods Maxに独特の手触りを与えているアルミのイヤーカップ、ステンレススチールのヘッドバンド、メッシュのキャノピーは、同時に重量を3割ほど押し上げている要素でもある。そして質量は、ファームウェアアップデートでは手の出しようがない唯一の仕様だ。
20時間という数字の意味は、使い方によって変わる。長距離フライトで映画を見て、そのあと眠るところまでなら余裕で足りるし、机の上で毎晩充電する人にとっては問題ですらない。厄介になるのは1週間の出張のような場面だ。30時間を謳う競合機は、帰宅するまで何も考えずに使える機器として扱える。持続時間の問題は数字そのものよりも、その数字をどれだけ頻繁に意識させられるかにある。
とはいえ、デザインが変わらなかったこと自体は不可解ではない。オーバーイヤーヘッドフォンは更新の遅いカテゴリーで、毎年ではなく数年ごとに買い替えられる製品だ。またAppleは、アクセサリーのエコシステムが育った工業デザインをめったに変えない。外装を保ったままチップを入れ替えるのは、見覚えのある戦略である。難しいのは、その結果として最も批判の多かった部分が2世代にわたって手つかずのまま残ることだ。
購入を考える人は、レビューが答えている2つの問いを分けて考えたほうがいい。良いヘッドフォンかどうかと、まだ使えるものを買い替える価値があるかどうかは別の問題であり、Appleの改良型ハードウェアは前者で高く、後者で低く評価されがちだ。このカテゴリーに新たに入る人で、Appleのエコシステムに投資していて、騒がしい環境で長い時間を過ごすなら、これは素直な改善である。2020年モデルや2024年モデルの所有者、とりわけロスレス対応のファームウェアをすでに受け取っている人は、より良いアンプのためにフルプライスを払うよう求められていることになる。
そこから実際的な注意が2つ出てくる。Appleのヘッドフォンは、世代が落ち着けばサードパーティの販売店でそれなりの頻度で値引きされる。これはどんなレビューよりも損得の計算を変える。そして2025年のファームウェアアップデートは、新しいハードウェアなしでも意味のある機能がこの製品ラインに届いてきたことを思い出させる。急ぐより待つほうに理があるという材料だ。
そのため、この話題は4月1日の発表記事とは別の意味を持つ。あの日はAppleの主張を整理する日だったが、4月9日は独立レビューが何を上積みしたかを見る日だ。最も妥当な整理は、AirPods Max 2は確かに良くなったが、重さ、電池持ち、549ドルという価値判断まで一気に解決した製品ではない、ということになる。