
Apple、通信事業者の分割払いで購入したiPhoneを完済までロック
米国のAppleでAT&T、T-Mobile、Verizonの分割払いを選んだiPhoneは、端末代金を完済するまでその通信事業者にロックされるようになりました。一括払いとApple Card月額分割払いでは、引き続きSIMロックのない端末が提供されます。
Appleは米国ストアにおける通信事業者の分割払い条件を変更しました。7月中旬までは、T-MobileまたはVerizonの端末分割払いを選んでも、利用開始時からロックされていないiPhoneを受け取ることができました。更新後の条件では両社もAT&Tと同じ扱いとなり、完済まで端末が通信事業者にロックされます。
影響は主回線の乗り換えだけではありません。通信事業者にロックされたiPhoneでは、通常、別会社のeSIMを有効にできないため、海外旅行時の選択肢も狭まります。なお、ネットワークロックは分割払いの債務を消すものではなく、請求割引などの特典も各社の条件に従います。
今回の変更は米国の通信事業者向け分割払いに関するものです。 Appleで販売されるすべてのiPhoneや、他国の制度にそのまま当てはめることはできません。Appleは、一括払いまたはAppleの支払い方法で購入したiPhoneはロックされていないと説明しています。Apple Card月額分割払いの条件にも、対象となる米国の通信事業者を購入時に選ぶ必要はあるものの、端末自体は常にロックされないと明記されています。
Appleは変更理由を公表していません。確認できる結論は限定的です。AppleでAT&T、T-Mobile、Verizonの分割払いを利用すると完済までロックされ、通信事業者を介さない支払い方法では引き続きネットワークを自由に選べます。
SIMロックは、米国での端末の買い方が積み重ねてきた慣行の名残です。何十年ものあいだ、2年間の通信契約と引き換えに端末代金を補助する方式が標準で、SIMロックは通信事業者にとっての担保として機能してきました。業界が2010年代半ばに分割払いへ移行すると契約の縛りはなくなりましたが、論理のほうは残りました。高価な端末の費用を事業者が立て替えていることに変わりはなく、ロックは顧客が——あるいは不正利用者が——端末だけ持って離脱するのを抑える役割を果たします。事業者自身の店舗で分割払いにより購入した端末は、こうした理由からおおむね以前からロックされてきました。
Appleストアが例外だったのは、まさに今回ふさがれた抜け道があったからです。Appleで通信事業者の分割払いを選べば、事業者の分割価格と、初日からロックのない端末という双方の利点を組み合わせられました。大手3社の条件をそろえたことで、Appleの購入手続きは、各社が自社チャネルですでに行っていた扱いと一致します。そう見ると、驚くべきは抜け道がふさがれたことよりも、それがこれほど長く残っていたことのほうかもしれません。
米国の慣行には、確立した出口も用意されています。2010年代半ばに採用された業界のロック解除に関する取り決めのもと、各社は端末代金が完済され契約が良好な状態であればロックを解除し、その手続きと時期は事業者ごとに公表されています。したがって、分割払いのiPhoneが永久にロックされるわけではありません。ただし解除は、毎月の支払いでも一括の繰り上げ返済でも、残債がゼロになった時点で、しかも顧客側ではなく事業者側の日程に沿って行われるのが通例です。
eSIMの時代は、この違いの重みを増しています。米国モデルのiPhoneは2022年から物理SIMトレイを持たないため、旅行先で現地の事業者を追加するにはeSIMを有効にする必要があります。ロックが妨げるのは、まさにその操作です。かつてはロックのない端末に現地のSIMを差せばよかった旅行者も、いまは端末のロック状態に完全に左右され、ロックされたiPhoneを海外で使う場合は、契約中の事業者が販売するローミングの範囲に限られます。
自分の端末がどちらなのかは数秒で確認できます。「設定」>「一般」>「情報」に「SIMロック」の項目があり、「SIM制限なし」と表示されていればロックされていません。今後の購入で生じる判断も単純です。柔軟性を重視する人——旅行や出張が多い人、回線を乗り換える人、端末を売却する人——は、一括払いかApple自身の支払い方法を選ぶべきで、Appleはいずれの場合も引き続きロックのない端末が提供されるとしています。端末を使い切るまで1社にとどまるつもりの人、とりわけ数年間の継続を前提とした請求割引を受けている人にとっては、失うものは比較的わずかです。
最後に、これがきわめて米国的な仕組みであることは忘れずにおきたいところです。SIMロックを制限したり全面的に禁じたりしている国もあり、今回のAppleの変更は米国ストアでの通信事業者向け分割払いに関するもので、世界のiPhone全体に及ぶものではありません。ただし、より広い教訓は国境を越えます。端末を最も安く手に入れる方法と、最も自由に所有する方法が同じだったことはほとんどなく、7月中旬以降、Appleではその二つがこれまで以上に離れたということです。