調査会社IDCの新たな推計によると、Appleは2026年第1四半期に620万台のMacを出荷し、前年同期の570万台から台数を伸ばした。前年同期比9.1%というこの伸びは、部品不足と不透明な経済環境が業界の重しとなり同期間で2.5%の成長にとどまったPC市場全体を、余裕をもって上回っている。
先に断りを入れておきたい。この種の数字は顧客への販売実績ではなく、流通経路へ出荷された台数の推計である。推計にとどまるのは、Appleが2018年にハードウェアの販売台数の開示をやめたためで、同じ四半期を推計する調査会社どうしでも総数はしばしば食い違う。小数点以下の値よりも、向かっている方向のほうが信頼できる。
この結果、Appleの世界PC市場シェアは1年前の8.9%から9.5%へ上昇した。量で勝負するメーカーが支配する市場の上位価格帯で長く戦ってきた企業にとって、これは小さくない前進だ。順位は世界の主要PCメーカーのうち4位で、上にはLenovo(1650万台)、HP(1210万台)、Dell(1030万台)が並ぶ。5位のASUSは17.1%と、主要メーカーの中で最も高い成長率を記録した。
二つの成長率の差には、実力というより算術に由来する部分もある。Appleの出荷台数はLenovoやHPのごく一部にすぎず、強い製品が一つあれば全体の比率が動く。数千万台を数えるメーカーには望めない身軽さだ。加えてAppleは市場の最上層に位置しており、そこでは価格が下がった時ではなく、業務上の更新周期に沿って機材が入れ替わる。
より長い流れも見ておく価値がある。Macは現代史の大半を、世界シェア数パーセント台の前半で過ごしてきた。2020年に発表され2023年に全ラインで完了したApple silicon(自社製プロセッサ)への移行は、Intel時代のMacになかったものを二つもたらした。ノートブックで即座に体感できる電力あたり性能の優位と、Apple自身が握るチップの更新周期である。後者によって、各世代は他社のロードマップを待つ時間ではなく、あらかじめ予定された買い替えの理由になった。
市場全体には、今年固有の追い風もある。Windows 10のサポートは2025年10月に終了し、それに続く法人の更新需要が、オフィスに納入するすべてのメーカーの出荷を押し上げている。機材の入れ替えを迫られた組織は、買う対象を一時的に見直す気になるからだ。Appleも周縁でその恩恵を受けている。ただし出荷推計からは、Appleの伸びが他社からの乗り換えによるものか、既存のMac利用者の買い替えによるものかは判別できない。二つの問いのうち、より興味深いのはまさにその点なのだが。
Appleの加速を牽引したのは、2025年後半に登場したM5搭載MacBook Proだった。プロフェッショナル層の間で大きな買い替えの波を生んだ製品である。より新しいM5搭載MacBook Airは発売が四半期の終盤に寄りすぎており、第1四半期の数字を大きく動かすには至らなかった。その寄与は4〜6月期に現れるとみられる。
供給の制約も話の一部だ。一部のMac構成では需要が供給を上回っている。最大容量のユニファイドメモリを選んだMac Studioは、購入時点で納期の目安が4〜5か月と表示されていた。Appleの生産能力が、最も強力なデスクトップ機に対するプロの需要にまだ追いついていないことを示す兆候である。
この納期の長さは、データの中で両方向に働く。数か月待ちは需要の強さの表れだが、同時に当四半期がその需要を過小に映していることも意味する。作れなかった機械は、後の四半期の台数として記録されるからだ。メモリはいま業界全体が奪い合っている部材であり、上位構成での制約は、この四半期を押し下げたのとほぼ同じだけ、次の四半期を実際以上によく見せることになる。
IDCのデータは、Appleが4月30日に発表する第2四半期決算がどのような姿になるかを先取りするものでもある。Appleは同四半期の全社売上高について前年同期比13〜16%の成長を見込み、金額では1078億〜1107億ドルという見通しを示していた。Macは通常、この数字に対して控えめながら安定した貢献をする部門であり、第1四半期のデータはこのカテゴリーが引き続き堅調であることを示唆している。
当日により多くを語るのは、売上高のほうだ。全社ベースの見通しは、この部門について何も語らない。読むべき数字は、推計された台数と突き合わせたMacの売上高である。両者の関係を見れば、MacBook Proの買い替えサイクルが台数をもたらしたのか、平均単価の上昇をもたらしたのか、あるいはその両方なのかが分かる。Appleが開示するのは売上高であって台数ではなく、調査会社が示すものとはちょうど裏返しの関係にある。
1四半期の好調は傾向ではなく、ひとつのデータ点にすぎない。M5搭載MacBook Airが丸ごと計上され、Mac Studioの受注残も解消されるであろう6月期のほうが、比較としては雄弁だろう。チップ主導の買い替えの波が、より息の長い動きへ広がったのかどうかが見えてくるはずだ。