新しいApple Music Hallが入るロンドンのバタシー・パワー・ステーション外観。

Amanda Slater / Wikimedia Commons · CC BY-SA 2.0

Apple、ロンドンの発電所に600人規模のコンサートホールを開設へ

Appleは9月25日、ロンドンのバタシー・パワー・ステーション内にApple Music Hallを開設すると発表した。会場の収容人数は600人で、最初の公演は9月28日のElton John。発表された8公演は12月2日まで続き、Apple Musicで世界向けに配信される予定だ。ここで重要なのは、発表日と実際の開演日を混同しないことだ。この記事の編集日は最初の公演ラインアップが発表された9月25日であり、会場は9月28日に開く予定である。

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Appleが作ったもの

Apple Music Hallは、テムズ川沿いの歴史的な発電所を再開発した施設の中にある。Appleの発表によれば、客席からステージまでの距離を抑えながら、アリーナ公演に必要な制作設備も備える設計だ。ステージは幅38フィート(約11.6メートル)で、正面向きにも客席を囲む形にも組み替えられる。客席の周囲には48台のスピーカーを配置し、空間オーディオの公演に対応する。

この設備は単なる小さなライブハウスとは違う。Appleによれば、会場には録音とミックスの専用スタジオが2室あり、公演をマルチトラックで収録してSpatial Audioにミックスできる。16台以上のカメラに対応する配線と放送コントロール室も用意され、iPhoneによる撮影と従来型の放送カメラを並行して使える。つまり、アーティストは600人の観客に演奏した一回の公演から、空間オーディオの録音、放送用ミックス、複数カメラ映像を作れることになる。

最初の8公演

9月28日はElton John、10月2日はBaby Keem、10月7日はSkye Newman、10月13日はTroye Sivan、10月22日はArlo Parks、10月29日はBurna Boy、11月26日はChase & Status、12月2日はCharli xcxだ。9to5Macによれば、最初の3公演のチケットは9月28日午前9時(英国夏時間)に発売され、残りは後日販売される。Apple Music Hallの公式サイトも、会場が600人規模で、世界中からApple Musicを通じて配信を見られると案内している。

この組み合わせは、会場の大きさと宣伝効果を両立させる狙いを示している。Elton Johnのような長いキャリアを持つアーティスト、ストリーミング世代のラップ、英国の新しいアーティストを同じ小さな会場に置くことで、現地のチケットを希少にできる。一方、配信は客席数に縛られない。600人の体験を世界に広げることが、Appleにとっての本当の規模になる。

ストリーミングサービスに会場が必要な理由

Apple MusicはこれまでもApple Music Liveなどでライブ映像を制作してきた。しかし専用会場は、既存のホールを借りる単発企画とは違う。不動産、常設スタッフ、制作設備、継続的な出演者の選定が必要になる。Appleは音楽配信を、曲数や料金だけでなく、アーティストとファンが出会う場所としても見せようとしている。

過去には2007年から2016年まで、ロンドンのRoundhouseでiTunes Festivalを開催していた。無料公演のチケットを抽選で配る形式だったが、Apple Music Hallは年間を通じて使える恒久的な拠点である点が異なる。Appleがこの会場を単なる宣伝用の舞台にするのか、録音・映像・ラジオを一体化した制作拠点にするのかは、今後の公演で見えてくる。

利用者にとっての意味

Appleは公演を世界向けにライブ配信すると説明しているため、ロンドンに行けないファンにも視聴の機会がある。ただし、配信の音声が毎回空間オーディオになるのか、チケットの入手方法が公演ごとにどう変わるのかは、まだすべて明らかではない。Apple Music Hallが今後も無料配信を続けるのか、別の都市にも同様の会場を作るのかも未発表だ。

現時点で確実なのは、Appleがバタシーに600人規模の会場を開き、制作設備と世界向け配信を組み合わせること、そして最初の8公演を公表したことだ。これは単なる新店舗の開設ではなく、Apple Musicがライブ音楽をサービスの体験として組み込むための実験でもある。

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